国際ブリーフセラピー協会における「ブリーフセラピスト」は、ブリーフセラピーを行う専門職としての信頼性および能力を確保するために、当綱領に基づく倫理的指針を厳格に遵守する義務を負うものである。ブリーフセラピストは職務を遂行する際、常に倫理的自覚を保持し、社会、家族、個人に対する責任及び義務を確実に果たさなければならない。

(信用失墜行為・職権乱用の禁止) 第1条 ブリーフセラピストは、国際ブリーフセラピー協会によって認定された資格を有する者であることを深く自覚し、ブリーフセラピストの信用を傷つけるような行為をしてブリーフセラピーの専門性およびそれに対する信頼を損なうことのないよう、十分に配慮する責任がある。

(秘密保持義務・個人情報の保護) 第2条 ブリーフセラピストは、正当な理由がなく、活動業務に関してその過程で知り得た人の秘密を漏らしてはならない。個人情報について、細心の注意を払って管理し、プライバシー保護に努めなければならない。ブリーフセラピストでなくなった後においても、同様とする。

(他の専門家との連携および協力)第3条
ブリーフセラピストは、その業務を行うにあたって、特定の機関または組織内で他の専門職と連携する必要が生じた場合、担当者に対して他職種の専門的知識および技術を尊重しつつ協力し、密接な連携のもとで総合的かつ適切な支援が提供されるよう努めなければならない。また、これらの支援を提供する者およびその他の関係者と連携を維持し、対象となる個人や家族の援助および福祉の向上に努めることが求められる。

(資質向上の責務・教育と研鑽) 第4条 ブリーフセラピストは、心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、ブリーフセラピーに関連する最新の知見や技術の向上に努めなければならない。そのため、継続的な教育を受けるとともに、専門的な研鑽を重ねる必要がある。ブリーフセラピーの実践に従事している場合には、スーパーヴァイザーや関連領域の専門家からのスーパーヴィジョンを受け、自らの専門的活動を誠実に振り返り、倫理的な観点から点検を行うことが求められる。

(公表に伴う責任) 第5条 事例や研究成果を公表するに際しては、法律に明記されている規定を除き、原則として個人またはその家族からの同意を取得することが求められる。

(専門的な関係の維持) 第6条 ブリーフセラピストは、援助の対象となる個人や家族に対して、専門的な関係の枠を超えた金銭や情報の授受、または私的関係の構築を厳に行ってはならない。

(インフォームド・コンセント) 第7条 ブリーフセラピストは、実践に先立ち、援助の対象となる個人や家族に対し、援助の内容、期間、目標、守秘義務、リスク、対価、並びにブリーフセラピスト自身と対象者双方の責任および義務に関して、十分かつ詳細に話し合いを行うことが求められる。この際、対象者が理解したことを原則として文書によって確認する義務が伴う。

(本綱領の違反) 第8条 本綱領が遵守されなかった場合の取扱に関しては、別途定めることとする。

附則 1. 本綱領は、2025年3月に施行される。

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